株式会社はくばく『バジル香るトマトもち麦リゾット』2023金賞受賞インタビュー

食感を活かした本格的なリゾット。レンジで温めるだけの手軽さとおいしさを両立して金賞受賞。

「日本雑穀アワード2023」の一般食品部門で金賞を受賞した株式会社はくばく『バジル香るトマトもち麦リゾット』。もち麦のプチプチした食感を活かした本格的な味わいと、レンジで温めるだけで食べられる簡便さを両立した商品です。受賞商品の開発を担当された市場戦略部 商品戦略課の井上江里加さんと、広報に力を注がれている市場戦略部 PR課の手塚俊彦さんに、開発のきっかけから工夫した点等、受賞商品について伺いました。

この度は、『バジル香るトマトもち麦リゾット』金賞受賞、誠におめでとうございます。

井上さん:ありがとうございます。実は販売開始が半年も遅れるくらい、開発には苦労しました。そのため金賞をいただけると聞いた時はとても驚きましたし、特に力を入れたもち麦のプチプチした食感を活かした点を評価していただけてうれしかったです。


3月9日「雑穀の日」に行われた金賞授賞式の様子

かなり苦労をされたのですね。まずは、商品を企画したきっかけから教えてください。

手塚さん:当社は業務用のもち麦も手掛けており、取引先にはイタリア料理店もあります。以前より、そこのシェフから「もち麦はリゾットと相性がいい」という声をいただいていました。

井上さん:リゾットはイタリアを代表するお米料理で、少しだけ芯を残したアルデンテ食感が理想とされています。シェフの意見を聞き、もち麦のプチプチとした食感を活かせば、本場のリゾットと同じようなアルデンテ食感を再現できると考えました。もち麦の新たな食べ方を提案するためにも、企画しました。

レンジで温めるだけで、これだけのクオリティが高いリゾットが食べられる手軽さは魅力ですね。

井上さん:企画した2020年は、ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行し、テレワークで働く人が増えていました。当社が調査したところ、半数の人がランチに使う時間は30分未満だと判明。調査結果を見て、忙しくてもお腹と心を満たしてほしいという思いが生まれました。簡単に調理でき、さらに食事を楽しみながら穀物の力で健康になってもらえるように「穀DELI」シリーズを立ち上げ、そのひとつとして開発に着手しました。

手塚さん:実は当社にとってレトルト食品は、長年抱えていた課題を解決する商品になります。雑穀を食べるうえでのハードルのひとつが、お客様ご自身で調理しなければならない点です。当社のビジョン「いつでもどこでも大麦・雑穀」を実現するためには、お客様が自分で調理しなくてもすむレトルト食品の製造が必要不可欠でした。そうした観点から、2020年から山梨県にある富士吉田工場でレトルト食品の製造を開始しています。受賞商品は当社のビジョンを実現する商品でもあるのです。

開発にあたって苦労した点を教えてください。

井上さん:もち麦をレトルト加工したところ、もち麦特有の酸味や臭み、粘り気が強く感じられるようになってしまいました。そこでバジルを加え、臭みを消すとともに本格的な味わいを感じられるように工夫しました。また、リゾットは粒と液体の一体感が重要です。飲食店ではもち麦のみでリゾットをつくっていますが、レトルト食品の場合、もち麦のみでは一体感が出せず、試行錯誤するなかで発芽玄米を加えることで一体感が生まれるとわかりました。もち麦と発芽玄米のそれぞれのおいしい味わいを最大限引き出す黄金比に仕上がっています。

栄養面で大事にされたポイントはどのようなことですか。

井上さん:糖質と食物繊維ですね。例えば、玄米ご飯一食分150gと比較しても同商品は糖質が約70%も少ない一方、食物繊維は約2.6倍も摂れます。

手塚さん:最近の傾向として、食事をする際、ご本人にとって不要な栄養素をオフにするだけではなく、必要な栄養素は積極的に摂取していく。つまりオンとオフを両立させている人が増えています。同商品も糖質をオフするだけではなく、食物繊維がしっかりとれる点を大事にしています。カロリーが108キロカロリーと少ない点も好評いただいております。ただ、もち麦は種類によって食感も食物繊維量も違います。おいしさと栄養のバランスがとれた品種を探すのは、大変でしたね。

もち麦の品種選定にもこだわったのですね。

手塚さん:当社は1941年に創業して以来、大麦をはじめとした雑穀を扱っており、現在でも国内の大麦の約6割を当社が提供しています。当初は炊飯用のもち麦を使って試作しましたが、プチプチした食感を出すために、蓄積してきたノウハウなどを活かして、同商品用に新たにもち麦を選びました。そのおかげで、本格的な食感が実現しました。

井上さん:原料に関しては、トマトにもこだわっています。今回はポルトガル産のトマトを使用しています。これは煮込み料理に適していて、甘みと酸味と旨味のバランスがとれています。

赤を基調としたパッケージも目を引きます。

井上さん:これまで当社が販売してきた商品は和をイメージしたパッケージが多かったのですが、今回はターゲット層である30代女性向けに明るくかわいらしいパッケージにしました。私自身、商品を買う時は、パッケージに魅かれて手に取ることもあります。今までもち麦を食べたことがない人にも手に取ってもらえるようなデザインを心がけました。ターゲットとなる30代女性は仕事などで忙しい日々を送っている人が多いと思うので、この商品がそうした日常を彩ってほしいという思いも込めています。

実際に購入されている方は、どんな方が多いのでしょうか?

井上さん:メインターゲットとして考えていた30代女性のほかに、もち麦と親和性が高い中高年層にも手に取っていただけているようです。特に同商品は、食物繊維がとれるうえ低糖質なので、健康意識が高い人を中心に購入いただいています。雑穀を食べた経験はあっても、普段の食生活になかなか取り入れられず雑穀を食べるのをやめてしまった方もいます。そうした方が当商品の簡便さに魅力を感じて手に取り、再び雑穀を食べるきっかけになったという話も聞き、うれしかったですね。

ホームページでは、受賞商品を使ったアレンジレシピをいろいろ紹介されていますね。

井上さん:そのまま食べてももちろんおいしいのですが、味のバランスがとれているので、アレンジするとさらに食べ方のバリエーションが広がると考え、提案しています。私個人としては、オムレツを作った時にケチャップ代わりに、ソースとして食べるレシピもおすすめしています。


もち麦リゾットをソース代わりにしたオムレツ

賞味期限も360日と長く、審査員からは「災害保存用にぜひ常備しておきたい」というコメントもありました。

井上さん:電子レンジに対応した商品ですが、温めなくてもおいしいですし、お皿を使わずに袋からそのまま食べることも可能です。ローリングストックにも向いているので、常備していただけるとうれしいですね。

御社が考える雑穀の良さについて教えてください。

手塚さん:ひとつは、生活習慣病などの疾病対策につながる可能性です。特にもち麦は内臓脂肪の低減、LDL(悪玉)コレステロールの低下、食後血糖値の上昇の抑制などの効果が期待できます。高齢化が進み医療費が増えていくと予測されています。そうした社会課題を解決する役割を、雑穀が担ってくれると考えています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

手塚さん:当社は雑穀の市場を広げるために、「主食改革」を掲げています。これは、食物繊維などが豊富で健康維持につながる雑穀を白米に混ぜて食べる食文化を広げる狙いがあります。たとえば、飲食店に行った時、お味噌汁やおかずは好みや気分に合わせて選びますよね。でも、ご飯は白米が当たり前だと思っていて、選ぶ意識はほとんどありません。雑穀のリーディングカンパニーである当社が雑穀の良さをしっかり発信し、ご飯の価値を上げていく。その結果、皆さんが雑穀を食べるようになり、より健康になってほしいと願っています。


ありがとうございました。調理の手間をなくすことで、興味を持ちつつも食べたことのない方々が、この商品に出会うことで、雑穀を食べるきっかけとなればすばらしいです。

受賞商品紹介ページ  バジル香るトマトもち麦リゾット


株式会社はくばく
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穀DELI ブランドサイト
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